2016年08月04日

日本酒ナビゲーター・焼酎ナビゲーター通信10 メキシコの日本酒事情


 今日は武田様という男性からいただきました情報を
 日本酒・焼酎ナビゲーターの皆様にもお伝えしたく、
 メールしています。


 武田様はメキシコに滞在していたご経験があり、
 ご本人様の体験を基に、メキシコの日本酒事情を
 教えて下さいました。


 まずは、武田様のお言葉から
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 僕が痛感したのは、

 1.海外に日本のものを持ち込む際の難しさ(文化、生活様式の違い)
 2.日本の味覚がそのまま通用するわけではない。
  そして、僕自身もこれで失敗してしまったわけですが、
 3.とっておきのアイデアを一つ思いついても、
  それがうまくいくほど、顧客はやさしくない。
  なので、
 4.多面的に普段から考える必要がある(日本酒ひとつとっても、
  酒そのものか、容れ物か、流通なのか、マネジメント・・・など)でした。
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 本文です。

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 『メキシコにおける日本酒事情』

 メキシコで一番飲まれているのはビール。次いでワイン、
 そしてテキーラやメスカルだ。

 メキシコには低めのアルコールと高いアルコール飲料はあるが、
 中間層にあたるものとして少しワインが触れる程度だ。


 日本酒の課題はその値段の高さ、そして飲み方である。
 まずは値段、海外生産のものに比べ、
 5倍近くの価格は関税と人件費の影響である。

 アルコール度数14°を境に税率が大きく変わるので、
 低アルコール酒を模索する必要があるかもしれない。

 また、現状空輸は価格や法律から見て難しい。
 船便でのコンテナ輸送は赤道直下を通るため、
 可能であればリーファー(冷蔵)コンテナが好ましい。


 ・メキシコに行った理由

 南米で一番賃金が安いメキシコへ日本からの工場の移動が始まっている。
 2015年を境にしてメキシコ国内の日本人は、
 最終的に1万人を超える見込みだ。

 工場建設地とされる地方、グアナファトやグアダラハラ
 (首都はメキシコシティ)には日本食の店がそれほど多くはなく、
 これからの日本酒の開拓としては重要な候補地になる可能性がある。


 ・メキシコと日本酒

 現地での市場調査やデモンストレーションの結果から見ると、
 メキシコでは日本と同じように甘めで香りが華やかなお酒が
 好まれるように感じたが、実態は異なる(後で書く)。

 また、日本酒の甘さになれていない人はくどさを強調している。
 また甘めのワインと比べる人が多く、
 価格の差(持って行った日本酒は1本1000ペソ近く。
 ワインの5杯の価格だ)を指摘する人が多かった。

 一般的なメキシコ人の日給は100ペソに満たない。
 月換算で2000ペソ弱だと聞いた。

 さすがに月給の半分を日本酒に費やすわけにはいかないだろう。
 目を向けるべきは富裕層である。それもかなり上流の。


 メキシコは日本酒の浸透度としては初心者的なものである。
 米国産の大関や松竹梅が大半を占め、
 そこに2つの貿易商社からの日本酒(獺祭や八海山、
 高清水などの銘柄酒)が入る。

 輸入の日本酒は一度アメリカを通して入るため、
 商品の種類はもちろん製造年月日もばらばらである。


 富裕層向けBARイベントに参加した時、
 ULTLAMARINAという商社が日本酒を扱っていた。
 彼らは小左衛門や天吹を全商品持っていたり、
 越乃寒梅の特別本醸造を出していた。

 その中で気づいたことは、あまり精米歩合(polish)を気にしないことだ。
 というより分からないのだろう。
 (日本側が分かりやすくすることを怠っているのかもしれない)

 雰囲気で飲むお酒を変えるのだろうか。
 また、彼らは「セコ」(甘くないの意)とよく話しており、
 いわゆる辛口を求めることが多かった。

 メキシコのとある日本料理店のシェフは、
 脂ののったサーモンの刺身にドライな日本酒を合わせるのが一番
 と言っていた。


 ・メキシコ、そして世界への日本酒販売への個人的な提言

 大事なのはいかにして、日本の文化的侵略にならずに
 日本酒を送り込むか、
 すなわちローカライズをするかと考える。

 「日本は世界の文化を取り込んで自分の文化を創っているのだから、
  世界にそれは浸透する」という驕った考えを捨てなければ
  ならない気がする。
 (実際メキシコに行っている当時は、私はこう考えていた)

 例えば、日本では無濾過生原酒が一つのブームとなっている。
 ただそれがそのまま世界で通用するかどうかを考えないといけない。
 無濾過生原酒は飲み口の軽さの割に
 後々どっしりと胸にくることがある。

 また飲み口に関わらず高アルコールのものが多い。

 メキシコでは日本の居酒屋のようなスタイルはあまり見られず、
 レストランとして「食事」をする店が多かった。

 また主な販売先になるであろう上流階級では、
 パーティなどの社交場が多々あり、
 軽いアルコール飲料が求められている。


 日本と海外では文化や伝統、
 生活様式が全然違ってくることを考えねばならない。

 日本の人気傾向イコール世界の人気ではない。


 バラバラな文章になっていますが、
 あまりうまくいかなかった初めての海外輸出でした。

 思うところはたくさんあるので、
 きれいにまとめてまた送ってみようと思っています。
 まだまだ掘り起こせるところもありますので・・・・

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 武田様、貴重なご体験による情報をありがとうございました。

 私もとても勉強になりました。


  最後までお読みいただきありがとうございました。


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